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森を出て、街の方へ歩く。ギルド登録したいし。
あー、やっぱ検問あったか。
「身分証の提示をお願いする」
「はい」
神が用意してくれた。ドッグタグっぽい。
こっちの世界は基本的にこれで身分証明するんだと。
「ご協力、感謝する」
無事、通過。定型文だとしても、こういう対応、嫌いじゃないぞ。
当たり前のことにお礼を言える国柄は好きだ。
検問からすぐのところにギルドはあった。
王都で小さな王とか…いいのかそれ。と思いながら、ギルド『レグルス』に足を踏み入れる。
正直、大の大人が昼間っから酒盛りしてるのは
見たくなかった…かな。
なんか、絡まれたし。
「おー、あんちゃん、ここらじゃ見ねー顔だな?」
……ウザい。
「離せ」
「あ?舐めてんじゃねーよ、俺はな、Aランク持ちだぞ?」
知識としては、真ん中ぐらい。
この世界は力の差がはっきりしていて、
低い方から、F、E、D、C、B、A、S、2S、3S、Zと分かれている。
ギルドマスターはS以上、2S以上になると、
各属性を司る帝などになることができる。
というか、このレベルのやつがイキってていいのか?
腕を振り解けば、そんな風に噛み付いてくる。
酔っ払いメンドい。
殴りかかってくるのを軽くいなして、首に手刀。はい、終わり。
受付に行く。
「ギルド登録をお願いしたい。」
受付嬢にそう言えば、登録書を手渡される。
氏名、五十嵐湊。年齢、16。属性、光、闇、創造。魔力、無限、と。
湊「はい」
「では念の為、属性と魔力、測らせてもらいますね」
…この受付、冷静だな。つまらん。
普通にもうちょっと、驚くもんだと思ってた。
水晶のみ置かれた小部屋に通される。
「同時に測りますので、手を置いて、魔力を流してください」
ベタな展開であれば、この水晶は割れる。
「属性は光に闇…あと、創造ですね。特殊属性じゃないですか。魔力量は…エラー⁉」
そう、この水晶、割れなかったのだ。
その代わり、下の電子表示にはエラーの文字。
てか、文字読めるんだな。神の知識のせいか?
うん、もう深くは考えるまい。
そして受付、さては用紙に目を通さずにいただろ。そりゃ驚く訳無いわ。
「マスター!」
マス「呼んだか?…なんでうちにこんなの来てんだよ!」
…誰か収束つけてくれ。無反応もつまらないけど、二人して騒がれても困る。
「はいはい、二人ともうるさいよ」
そう言って入ってきたのは…
また出た!爽やか風イケメン!
もうやめろよ…俺のMPがどんどん削られていく…
マス「風t」
「この格好でその呼び方ダメでしょ」
オーケー、風帝だな。
「帝にもいないよね、この魔力量…どうする?3Sぐらいにしちゃう?」
いや、実力の定かじゃない奴がそんなのダメだろ…しかも異世界一日目。使った魔法は刀を創造したぐらいだ。それも、想像したら出てきただけだし。
湊「いや、普通でいい」
「じゃあFからだね!早速依頼受ける?その間にカード作っとくし」
めっちゃグイグイくる。そして、テンション高い。見た目は爽やかなのに。
「じゃあエリスちゃん!オレ、こっち付いてくから。その間によろしくね!」
「この掲示板に依頼あるから。Fは一つ受ければEに上がるよ。今あるのは…ああ、薬草の採集だって。宵の森の方だよ。依頼初めてだし、一緒に行っちゃおう!」
次の瞬間には森にいた。転移したらしい。
「君、名前は?オレはルイス」
湊「五十嵐、湊」
ルイス「湊ね。出身は和国?」
知識には、日本に似た国とあるので頷く。そういう事にしておこう。
ルイス「来たばっかり?」
湊「ああ」
ルイス「家とかは?」
湊「……あ」
すっかり忘れていた。
ルイス「今、ギルドの部屋埋まってるしな…
うち、来る?あんま広くないけど、部屋なら空いてるし。街も近いし、一時凌ぎでも」
湊「…迷惑じゃ…」
ルイス「全然!ただ、料理とかはできないけど」
湊「それなら、代わりに作る。置いてもらっても、構わないか?」
こうして、とりあえず、ルイスの家に転がり込む事になった。
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