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 6月24日分のページ。「ついにやってしまった」で始まる文章を読んで、私はひどく打ちのめされた。  その前の週末、私は休暇で家に帰っていたからだ。  いつもの妻と娘、いつもの食卓、いつもの休日。  私はサキの面倒を見るでもなく、ただのんべんだらりと土日をゴロゴロと寝て過ごした。  そして妻の悩みにも、娘の奇行にも全く気づかず、翌朝早く、いつものように妻に駅まで車で送らせて、仕事という自分の日常に帰っていった。  苦悩に満ちた日常の中に妻ひとり置き去りにして。 6月24日(月)  ついにやってしまった。  サキを、叩いてしまった。  あれは躾じゃなかった……八つ当たりだった。  サキはいつもろろろと話してばかりいる。私のいう事を聞かなくなった。  イライラして、サキを叩いてしまった。  キッ、と向けられた顔が忘れられない。  サキはすぐに、ろろろと話し始めた。  私を、ひどい母親だと言っている……。  サキのことがわからない。  ろろろって一体なんなの?  …………ろろろは本当に、サキの妄想なの……?
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