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そんな折、王様の城で舞踏会が開かれることになりました。
シンディとレイラは招待状を貰えたので大変、喜びましたが、どの服を着て行こうか、それを決めるのに大変、困りました。
二人は舞踏会の開催日になっても頭の先から爪先まで映る大鏡の前でタンスから幾つも衣服を引っぱり出してはあれこれと試着しながら大騒ぎになりました。
お陰でイキテレラはそこら中に脱ぎ捨てられた衣服を畳んだり火熨斗にかけたりして朝っぱらからてんてこまいの忙しい目に逢いました。
そこへキメラがシンディとレイラを心配してやって来たのでイキテレラは八つ当たりされるのではないかと気を揉みました。
「お化粧はちゃんと出来ましたか?着て行く服は決まりましたか?時間に遅れますからさっさとしなさいよ。こら!イキテレラ!何をぼさっとしてるの!この役立たず!」とキメラが案の定、怒って来ると、イキテレラはキメラに仕方なく謝ってから皮肉っぽく言いました。
「あんまり沢山、上等な服があるのも考えものですね。その点、あたしは全然ないですから気楽なものです。」
「お前は上等な服があったって気楽なものよ。舞踏会に呼ばれないんだから!」とシンディが言い返すと、「化け物の舞踏会には呼ばれるけどね。」とレイラが言って二人は大笑いしました。
「確かに呼ばれます。そこでは笑われませんが、今夜の舞踏会へ行けば、どれだけ笑われるか知れません。」とイキテレラが自虐的に言うと、シンディとレイラだけでなくキメラも大笑いしました。
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