4人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、シンディがやっと、「わたしはこの花の刺繍が入った赤い天鵞絨の服にするわ。」と決めると、「それじゃ、わたしはこのピカピカ光るピンクのサテンの服にするわ。」とレイラも決めましたので二人は服の着替えを済ませてからキメラに見送られて舞踏会へ出かけて行きました。
イキテレラは二人が行ってしまうと、自分の立場を思い、急に悲しくなって台所の隅に隠れて人知れず泣き伏してしまいました。
その時です。イキテレラは背後からそっと肩を叩かれ、ドキッとして振り向くと、見たこともないお婆さんが杖を持ってにたにたしながら立っていました。
「そんなに泣いたら余計みにくくなるよ。」
「みにくいお婆さんに言えた義理!」
「ほっほっほ!言うねえ。わしは断然、お前さんを気に入った。是非ともお前さんの願いを叶えたくなった。」
「そんなこと言うお婆さんって何者なの?」
「わしは魔女じゃ。」
「ま、魔女!ど、道理で胡散臭いと思った。」
「ほっほっほ!胡散臭いかい。そんなことは兎も角、お前さん、舞踏会に行きたいのじゃろう。」
イキテレラは素直に頷いてから言いました。
「でも、あたし、ぼろ服しかないし、ぼろ靴しかないし・・・」
「おまけに顔もぼろだし・・・だから無理と言いたいんじゃろ。」とお婆さんが歯に衣着せず言うと、イキテレラは流石にムッとしました。
最初のコメントを投稿しよう!