セミの場合

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セミの場合

今度こそ確実に当てる。俺は木の上で奴が来るのをじっと待っていた。この夏、何度目の挑戦だろうか。人間界では“おしっこ”と言われているようだが、それは違う。あれは、俺たちが人間への嫌悪の象徴としてぶつける怒りだ。短命なことをさんざんバカにされたことへの。 暑さをしのぐために木陰に入ってくる時がチャンスだ。そのときこそ、必殺の爆弾をお見舞いしてやる。 何も知らずにバカヅラで近づいてくる奴の頭めがけて、3、2、1……。 「うわっ、びっくりした!いきなり出てきたから驚いたよ。」 無念! カラスの奴め、あとちょっとのところで奴に爆撃を成功させられるところだったのに、この俺が食べられてしまうとは……。
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