NSR

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最終コーナーで車は大きく膨らんだ。 焦りが生んだミスであることは確かだった。 後ろからのプレッシャー。 チャンピオンになれるという欲望。 それらが身体を支配し、一瞬。 ほんとに一瞬、ブレーキが遅れた。 「くそっ!」 自身への罵倒だった。 右側から青いポルシェがしっかりとタイヤをグリップさせ、前に出て行く。 この瞬間にチャンピオンはポルシェのドライバーとチームに決定した。 表彰式、インタビュー、ファンサービス。 最終戦、決勝ラウンドであるため、その盛り上がりは凄まじい。 そして、NSR恒例の最終行事。 チャンピオンの持つ権利。 「チャンピオン!来年の決勝ラウンドはどこにしますか?!」 「ニュルブルクリンク!!」 決勝ラウンドのサーキットを指名する権利。 世界最高のチーム数と観客動員数を誇るNSRだからこそできるパフォーマンスだった。
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