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続けて、
「、、、どうだろう、お前がよけりゃ店の会計業務や税務なんかもキセくんに頼もうかと思うんだが」
「会計と税務を?」
「そ。
店の会計と税理兼ねてたオッサンが急に体調崩しちまって。
特に税務なんて全部その人任せだったから、こっちはワケわかんなくてPC前に首捻ってたら、これまた見かねたキセくんが休憩時間にサックサク処理してくれてなぁ。
会計の知識も税務も全部頭に入ってるのか、これがまー、早いの何の。
お前に了解もらって他にもいろいろしてもらおうかなって言ったら、
『水無月刑事には言わないで欲しい』
だって。
足かせになるような刑事見習いとはいえ、彼を抱えたお前に黙ってる訳にはいかないし、お前からは、
『何させても面倒ばかりで、大した使い途はないが』
なんて聞いてたろ?
もしかしてお前は彼の能力のこと、知らないのかなって思ってさ」
「ああ。だが、、、」
「おい水無月、キセくんは間違いなくギフテッドだ。そこらの天才なんてもんじゃないぞ。
刑事に向いてないならこっちに寄越せよ」
鵜飼は厨房の人影を確認し、声を潜めた。
「すまない鵜飼、出直すわ」
手にしてた車のキーをポケットにしまい つつ身体の向きを変えて部屋に向かう俺に対し、鵜飼が背後から念を押した。
「キセくんを見切るなら、その前に相談してくれよ」
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