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朝、
起きて首を鳴らしながら一階へ降りれば、カウンターキッチンにスツールを寄せて座り、一人機嫌良く鼻歌を歌いながらシリアルに牛乳を注ぐキセが、
洗面所へ向かう起きぬけの俺を目で追った。
「あ、おはようございます」
刑事を目指しているというコイツの面倒を
『寝食共に』
押し付けられてから、今日で二週間。
同居初日、
真夜中に突然始まった寝言はその日から毎晩続いている。
数日後の夜に小一時間ほど放置してみたが無駄だった。
時間を選ばず突然に始まるキセの寝言は、結局俺が返事をするまで言葉を変えて執拗に続き、その間本人は起きることもない。
さらにコイツの寝言は、
『耳元で返事をしなければ止まない』
という質の悪いものでもあった。
夜中に帰ればロフトで寝ているキセに城を譲り、ソファで寝ることにした俺は、始めのうちこそ寝言が始まる度に起きて移動していたが段々とそれも面倒になり、ついには横に布団を並べ返事をする羽目になった。
おまけに、
「寝言に応えるのは良くないと聞きました。
無視してみたらどうでしょう?」
『他人事のような提案に冷静さを保つ』
という試練も課されている。
「ばーか、んなことは、とっくにやった。
無駄だったんだよ。
それにだな、お前の寝言は俺が寝始めた一番イイ時を狙って始まりやがる。
全く故意としか思えない」
「それほど はっきりとしたやり取りをしているのに、僕には全く自覚がないとは不思議ですね。
一度録画でもして様子を見てみたいものです。
実は全てが水無月さんの夢だったりする、、、
ホラー的なオチかもしれませんよ、、、」
わざと恐ろしい顔を作って俺に向けたスプーンをくるくる回し、
ピタッと止め、
「なーんて」
ぱっと笑う。
「、、、、」
そんなやり取りを経て、過ぎた二週間だった。
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