あの子を探して

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子供と思われるプレイヤーたちは、蓮柊ちゃんを心配するあまり無断で行動を起こしたのだろう…または未知から来る好奇心を満たすために。 そういうわけで、帰還不能のリスクを背負って俺は八方手を尽くしてかのゲームにログインしたのだ。 正義感というより、試験勉強が終わったら集団誘拐の手引きの疑惑をかけられ居場所がなくなっていたというか。 無責任なネットの世界の恐怖というか…リアルのニュースで各地の小学校で昏睡状態の生徒がたくさん見つかったというのがあって、それから後を追うように無数の大人もかのネトゲにログインしたという話も聞くが…彼らは何を考えているんだか。 もう、ここまでくればいろいろ技術者も何か対策もしているだろうが原因不明の状況のこちらにも裏口らしきものがいくつかあったらしい。 俺の場合は芋づる式被害者が多めだったから無責任な容疑をかけられたが、むしろ無数に枝分かれしながら各地に伸びる植物の根のようなこんな状況が怖いだろ。 ともあれ、こんな理由で俺は牛ひき肉100グラムという名前でこの世界に降りたった。 牛ひき肉100グラムという名前は、馬鹿馬鹿しいこの状況に名乗る名前もないというところか…ハンバーグの材料の方が近いのだが。 「…そうだ。」 双剣を抜いて、俺は女と距離を詰める。 構えから先手は取れそうかと思うが…中身が油断ならない。 見た目が女だからと油断出来ない…あらゆる虚構が集うゲームの世界だ。 このゲームは開発されたばかり…しかし、このゲームのプレイヤーのゲーマー歴は比例しない。 マイナーだからこそ、我は腕に覚えありと参加する猛者が紛れているかもしれない。 何となくだが、そんな気がする。 中身も女とは限らない…子供がたくさん集まった警察も突入を躊躇うようなマイナーなデスゲという名の閉鎖空間など、犯罪者の楽園ではないか。 俺は高校生だが、『大人』は信用出来ない…これがこの世界の常識だ。 だから、俺も大人を信用しない。 「やっぱり、警戒されている…か。」 相手も俺について一定の線引きはしているようだ。 しかし、昔やっていたゲームのユーザー名なんてよく調べていたものだ。 俺はネトゲ歴は長いが、そんなに有名なプレイヤーではない。 レベルだって、50ほどでだいたい止まっている…ゲーマーの情報交換用の掲示板でちょっと名前が知られているぐらいで。 だが、女らしき者はしつこく食い下がる。 「…七海(ななかい)荒らし、というべきかしら。 私と、組んで欲しい。」 こいつ、ストーカーか。
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