あの子を探して

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MMORPGの数は、今はとどまることを知らない。 俺はひとつのゲームにこだわらずに、いくつかのMMORPGをアバターやユーザー名を変えながらとっかえひっかえしてプレイしていた。 だいたい、最大40か50ぐらいまでレベルが上がったら次のゲームに切り替える…おかげで世話を持ちかけられることもなく大半はソロで気ままにやっている。 しかし、玄人マニアの目は誤魔化せない…空いた時間にゲーマーの掲示板にいろいろ書き込んで会話のやり取りを楽しんでいると暇なのか勘繰り出す特定マニアが混じっているらしい。 んで、ネトゲ自体を海に隔たれた夢の島として、そこで宝探しする姿を海賊に見立てて『七海荒らし』という誰が言い始めたかそんな異名がついた。 てか、ゲームのとっかえひっかえは普通にあると思うが…そんなに際立ったプレイしていたかな…俺。 お膳立ても、大概にしろ。 「その名前に意味があるのかは知らないが、無名の人間をそこまで調べあげたというならあんたの目的が末恐ろしい。」 本当なら、喉から手が出るほど欲しい仲間への申し出を俺はあえて断った。 徹底的に相手を調べて追いかける手口…またはそのネットワーク…大方、ただのゲーマーじゃないはずだ。 そんな連中の頼み事など、生命がいくつあっても足りない。 まぁ、デスゲにログインした時点で生命の保証と安全を語ることは不可能…まさしく背水の陣だ。 「…七海荒らしは、七つの海を渡るという。」 実際に股にかけたゲームは7つじゃないが、これは慣用句だ。 演技(ロール)なのかな…回りくどいな。 「海を隔てたすべての世界は、どれひとつ同じものにならない異世界。 すべてのMMORPGが同じシナリオとルールで動いているわけではないのだから…だから、声をかけた。」 確かにどマイナーなゲームシステムなど、攻略方法も人には広まらない…調べようとも思わない。 たくさんの世界を渡り歩いて、ある程度は様々なシステムに精通した俺がどマイナーなゲームの未知のシステムへの適応力や柔軟性が高いと踏んだか。 ゲームはRPGひとつとってもシステムの処理が全く違う。 それにより、同じ攻撃でも全く違った対処をせねばならないこともある。 戦略は、無限なのだ。
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