あの子を探して

7/10
前へ
/10ページ
次へ
「あの子がいなくなった。」 だから、助けたかった…だが、それだけなのだ。 そもそも、デスゲでプレイヤーが死ぬとどうなるのか。 諸説あるが、ゲームから強制ログアウトさせられるならまだ可愛い方だ…一番楽なうえに犯罪者が隔離出来るから。 ゲームの中に閉じ込められる…プレイヤーが消滅する…はたまた復活させられる。 このゲームがどういうルールかで、俺は救助の方策を決めねばならないのだが…誰も自らゲームの中で死んでそんなことを確かめる奴はいないだろう。 運営やインフォメーションはスタッフもいなくて機能停止…管理者のいないNPCへの聞き込みはどれだけ有効か分からない。 完全に手探り状態の試行錯誤と消去法…助ける助ける言ってもやらねばならないことが多すぎる…それ以前に、だ。 ゴワンッ!! 背後を狙って、威力の高い両手持ちの剣が脳天を一撃で仕留めようと迫ってくる。 気配に気づいて振り返り…交差させた双剣で受け止め、角度を変えて受け流す。 尻餅をついて投げ飛ばされる、子供のようなプレイヤー。 反対側からは、挟み撃ちにと魔法弾が飛んでくる…女の魔法がそれを弾き飛ばす。 俺たちは…怯えている救助対象に戦争を仕掛けられているのだ。 「大人は信用出来ない。」 「大人は恐ろしい。」 「倒さなきゃ…。」 「負けられない。」 呪いのように、俺たちに敵意を向けてくる「子供」たち。 わずかながらでも大人の悪意に触れて、たくさん傷ついてきたのが見て取れる…もしかしたら何人か減っているかもしれない。 最大2週間ほど、追っ手をかわしながらの遭難生活を続けているのだ…大人だってどう考えたって戦争になるよなぁ。 「助けるつもりが、追われることになったみたいね。」 女が、的確に状況を整理する。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加