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「あの子がいなくなった。」
だから、助けたかった…だが、それだけなのだ。
そもそも、デスゲでプレイヤーが死ぬとどうなるのか。
諸説あるが、ゲームから強制ログアウトさせられるならまだ可愛い方だ…一番楽なうえに犯罪者が隔離出来るから。
ゲームの中に閉じ込められる…プレイヤーが消滅する…はたまた復活させられる。
このゲームがどういうルールかで、俺は救助の方策を決めねばならないのだが…誰も自らゲームの中で死んでそんなことを確かめる奴はいないだろう。
運営やインフォメーションはスタッフもいなくて機能停止…管理者のいないNPCへの聞き込みはどれだけ有効か分からない。
完全に手探り状態の試行錯誤と消去法…助ける助ける言ってもやらねばならないことが多すぎる…それ以前に、だ。
ゴワンッ!!
背後を狙って、威力の高い両手持ちの剣が脳天を一撃で仕留めようと迫ってくる。
気配に気づいて振り返り…交差させた双剣で受け止め、角度を変えて受け流す。
尻餅をついて投げ飛ばされる、子供のようなプレイヤー。
反対側からは、挟み撃ちにと魔法弾が飛んでくる…女の魔法がそれを弾き飛ばす。
俺たちは…怯えている救助対象に戦争を仕掛けられているのだ。
「大人は信用出来ない。」
「大人は恐ろしい。」
「倒さなきゃ…。」
「負けられない。」
呪いのように、俺たちに敵意を向けてくる「子供」たち。
わずかながらでも大人の悪意に触れて、たくさん傷ついてきたのが見て取れる…もしかしたら何人か減っているかもしれない。
最大2週間ほど、追っ手をかわしながらの遭難生活を続けているのだ…大人だってどう考えたって戦争になるよなぁ。
「助けるつもりが、追われることになったみたいね。」
女が、的確に状況を整理する。
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