あの子を探して

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もう、こうなったら誰が信用出来るか出来ないかではないことを、俺は悟った。 誰を利用してでも、目的を達成しなければならない修羅場だと気づいたのである。 「あんた、スキルは?」 まずは背中合わせの女らしき者に、俺は何が出来るのか聞いた。 「炎の魔法攻撃と、MP回復が少し。」 や、役にたたねぇ…救助対象を焼き尽くすたけで盾にもならんとは。 まあ、レベルは低いから出来ることはほとんどないな…生き延びたら稼ぎの大砲にしようか。 俺はアイテム欄を呼び出して、中を確認する。 眠り粉、痺れ粉、行動不能系バステ効果アイテムの山だ。 身を守る防具の装備代金を少しケチって、買いだめしておいた。 攻撃が当たらなければ、防具は要らん。 眠り粉を取り出して、相手の魔法使いに当てる。 「…!?」 確率は必中、攻撃で目を覚ます事も無し。 大抵のゲームでは、眠りに落とされると物理攻撃で目を覚ますのだが…このシステムでは一度眠らせると数ターンは起きない。 あとは、起きる前にひたすら攻撃…こういう無茶な不意討ちを繰り返して高レベルモンスターを相手に稼いだりしていた。 みんなレベルが同じなら、こういう先手必勝がよく効く…ダラダラしてレベルを上げられると敵の対策の幅が広がるからね。 「…うわぁ!!」 相手が、眠らされた味方を目の当たりにしてパニックを起こす。 俺は女らしき者に伝えた。 「…PKに対するペナルティと、ロストに関わる情報の生き証人だ。 確実に生け捕りにしろ。」 目の前で仲間割れした犯罪者の光景を見ているなら、彼らの情報は確実に力になる。 捕獲が面倒だからと焼かれたら困るのだ。
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