あの子を探して

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「分かったわ。 焼かなければ良いのね?」 女らしき者は身一つで剣士に近づき、杖を向けて殴りかかった。 魔法使いの物理攻撃力は低い。 ただし、このゲームでは今は現在全員のレベルが低い。 ついでに言うと、装備品も貧弱だった…30回ぐらい殴れば何回かクリティカルが出て倒せるだろうか。 「い"だぁ"い"だぁ"い"よ"~お"があ"ぢゃん~~!!」 1ポイントずつのダメージを受けながら、子供らしきプレイヤーは俺たち二人に挟まれ大泣きしていた。 「何がお母ちゃんだあァ? 攻めてきたのはそっちだろうが!」 女らしき者の必死の拷問が始まったのだった…声が何か脅迫めいている。 「私はダリア…プレイヤーギルド引き上げる《サルベージ》のダリアだ!」 ああ、聞き込み中小耳に挟んだ人命救助専門のプレイヤーの集まりだな…あまり気にしなかったが。 てか、これ…救助活動と言えるかなぁ…こんな状況だから仕方なしと割りきるしかないだろうけど…思い切りPKだよなぁ。 「あまり叩くと聞き込みが不可能になるぞオイ。」 痛覚のせいか、反撃しない相手に対する罪悪感が生まれた。 俺は慌てて二人の間に入ってダリアを止めた。 しかし、特にペナルティは無いように見える…後でアイテムの数とか確認せねばならないだろうけど。 助けたい、守りたい、その一念は強さに変わると言うけれど。 しかし後に彼女はその非情な救助姿勢から、『死神』の異名がつくことになる。
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