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体に纏うは疲労
時は令和。
そして舞台は日本の首都、東京。
夜になっても街灯やビルの光のせいで未だに明るい町の中、俺は身体が安定せずフラフラとした足取りで帰路に着いていた。
その瞳は顔を上げて眩しい町並みとは真逆の光の宿らないもので。
俺は霞んだ視界の中でぼんやりと通り沿いに聳え立つビルの窓から漏れ出す光に目を向けた。
そして、朦朧とする意識でその光に思いを馳せた。
(あぁ…俺よりもヤバい奴は沢山いるんだ…東京の光は社畜の努力で出来ている…ありがとう社畜、君達のお陰で町が明るい…)
等と考えている俺も、立派な社畜であった。
一般企業である俺の会社は定時退社を謳っている。しかしその文句には抜け道があり、定時で帰れる代わりに朝に残業をするという暗黙の了解があった。だから俺は毎朝始発の電車に乗って出勤していた。
しかし最近はもっと酷かった。定時退社をしてから終わらない仕事を持ち帰り、近くのカフェで夜遅くまで作業をする。ここ最近はそんな生活を送っていた。
今日も今日とて始発出勤(実質)終電退社をし、帰り道を軸の無い身体で歩きながら、
(社畜が世界に光を放っているんだ…)
等と考えており、
俺の精神は既に限界を迎えていた。
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