第1章

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日誌を渡し、失礼しました、と言って職員室を後にする。 下足室に行くと、既に靴を履き替えた四郎がいた。その四郎は見事に女の子に捉まっている。 たぶん友達なんだろう。四郎はにこやかに数人の女の子と駄弁っていた。 俺はどうするのが正解だろうか。先に帰っていいものか、それとも待つべきか。 悩んだ末、俺はいつも通りに何食わぬ顔でその横を通り過ぎた。 正門をでて、目の前にある公園に入ると、自販機でお茶を買った。そして近くにあったベンチに座る。ここからは正門が見えないが、四郎はそのうちここにいる俺を見つけるだろう。 「ごめん、まさかクラスの女子に見つかるとは思わなかった」 しばらくして本当に俺を見つけた四郎は、申し訳なさそうに小走りでやってきた。 「相変わらずモテモテだね」 「違うから。あれは……や、何でもない」 すごく気になる。けれど言いたくなさそうな四郎に無理矢理訊くことはしない。 いくら仲の良い従兄弟でも、踏み込まれたくないことも隠しておきたい秘密もあるだろう。だから深くは聞かない。 「帰ろうか?」 「……あぁ、うん」 少し暗い顔になった四郎を不思議に思いながら、俺は飲んでいたお茶のペットボトルのキャップを閉めて立ち上がった。 駅まで歩く俺の後ろを、四郎は静かに付いてきた。
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