第1章

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「就職か……」 「四郎はどうするの?」 「俺は進学かな。社会人とか、まだ考えらんない」 四郎ははぁ、とため息を吐く。 正直、今まで四郎とずっと同じ進路を進んできたから、もうすぐ別れてしまうのかと思うとさみしい気持ちはある。四郎とは兄弟のように育ってきたから、余計にそう感じてしまうのかもしれない。 けれどこれは、いつかは訪れると決まっている別れだろう。別々の道を進んでも、一生会えなくなるわけではない。 「また進路調査書、出さないとだよなぁ」 「あ、俺教室の机の中に忘れてきちゃった……」 しかし思い出した時にはもう遅い。電車は家の最寄り駅に着いてしまった。 「暦ってやっぱりどっか抜けてるよな」 四郎はあはは! と声をあげて笑う。 提出期限はまだ先だから、そこは問題ないしいいけど……。四郎の言う通り、俺は大事なところで抜けている。 改札を抜けながら、小さくため息を吐いた。 早いところ、進路を決めないといけないな。そう思うだけで俺は息が詰まりそうになった。
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