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母への電話
細胞を採る検査を受ける前に、母にだけは知らせておきたいと思い電話をかけた。
知らせたいというよりは、声を聞いて落ち着きたかったのかもしれない。
『もしもし~?』
いつも通りの母の声だ
「もしもし?」
『元気~?今日あっついなぁ~』
「あついなぁ~お父さんおるん?」
『おらんよ~また出かけたわ~なに?』
「あのさぁ……私さぁ……」
すぐ話そうとしたけど、何から話せばいいのかわからず、言葉に詰まる。私の異変に気づいた母も様子が変わった。
『…?仕事クビになったん!?』
「なってへん…」
『どうしたん』
「私さぁ……がんて言われたんやんかぁ」
『え?』
まるで耳が遠いおばあちゃんが聞き返すような感じのデカい声で母が聞き返す。
その後、私は泣きながら、もうどう説明したかは覚えていないが母は突然娘に乳がんになったと告げられ信じ難いといった感じで
『あんたのはがんじゃないて、そこヤブやろ~?もう一回違うとこで診てもらおに。大丈夫やでな?私も付いてくし。行く時言うてな?気をしっかり持たなあかんよ?そんなアホなことあるわけないんやで』
「わかった……また行く時言うわ」
『ケセラセラやに!絶対大丈夫やで。心配いらんよ。』
そう母に言われ大丈夫な気がした。少し気持ちも落ち着いて検査も受けられそうだ。
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