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店長への報告
検査の結果が出るまではハッキリしたことは分からないけど、先生のあの表情から察するにきっと私はがんなんだろう。
これから先どうなるんだろう……。
そんな不安ばかりが頭をよぎる。
とりあえず、上司に送別会のキャンセルと、検査の結果を聞きに行く日にお休みもらうことを連絡しないと、と思い電話だと上手く話せそうになかったのでLINEでその旨を伝えた。
数時間経って上司から返信が来た。
『今一番大切なのはゆんさん自分自身のことです。それが最優先。その次に家族です。いろいろと気にしちゃうこと、気になっちゃうこともあると思うし、今はいろいろなことを考えてしまってチカラが入らないかもしれない。それじゃダメってしっかりしなきゃって思うかもしれないけど、気丈であることがいいとも私は思わないです。泣いていいし、弱音吐いていいです。何も考えられないのも事実だと思います。それでいいです。
だからこそ自分のこと大切にしてください。家族には言えない吐き出したいことがあれば私が受け止めます。』
とても長い文章だったけど、私の心の中にスーッと入ってきて、この優しさにまた涙が溢れた。
同じ職場で仕事をしてきた仲間とはいえ、赤の他人がこんなにも自分のことを考えてくれているなんて。
改めて良い環境で働かせてもらっていたことに感謝した。
あと一人、仲良くしてもらっているパートさんにだけは話しておこうと、思い切ってLINEをしてみた。
最初はやはりビックリして
『なんと言っていいかわかりませんが、今はゆっくり休んでください。お役に立てることがあれば言ってくださいね。』
といったような内容だった。
病院に行ってから初めて出勤した日、その人も出勤していて顔をあわせた時に
『あの……これ、こないだお菓子いただいたお礼に作ってみたんですけど。これ食べて元気になってください』
と小さな紙袋を渡された。
中を見ると私の大好きなスノーボールと手作りの小さなお守りが入っていた。
お休みの日も私のことを考えてわざわざクッキーを焼いてお守りまで作ってくれてたなんて…。
その場でも泣きながらお礼を言い、帰ってからもお礼のLINEを送ると
『ゆんさんは私にとって、とっても大切な存在です。職場で出会えたこと、沢山親切にしていただいたこと、全てに感謝の気持ちでいっぱいです。今回のこと話して下さって嬉しい気持ちと、大丈夫なのかと不安な気持ちと、何も出来ないことに対して無力感と、色々な気持ちでいっぱいです。でも、お守り、ゆんさんに喜んでいただけたなら少し力になれた気がして嬉しいです。これからも、何でもサポートしますので、気兼ねなく何でも言って下さいね。』
と返信が来た。
こんな重い話を受け入れてくれるだけでなくここまでの気遣いができるなんてすごい人だなと思った。
私もまた誰かに自分がされて嬉しかったことを返せるようになりたい。
今はこのお守りが効くように神様にお祈りするだけだった。
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