Enemy or ally

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それからちょうど30分後、祐がやってきた。 梨乃「ゆうちゃぁー」 玄関で祐を待っていた梨乃は祐が入ってくるやいなや祐に抱きついた。 祐「あれ?梨乃、待っててくれたんだ?」 梨乃「うんっ。だってゆうちゃと『でーと』だもんっ」 尻尾でも生えているのではないかと思わせるくらい祐に懐く梨乃。 祐の胸に顔を擦りつけながら梨乃は嬉しい感情を表す。 力「で、どこ行くんだよ?」 祐「ん、実はさ……」 まだ公にはしていないらしいのだが、祐が手掛ける次のプロジェクトが子供向けのものらしく、梨乃に協力を得たいとか。 愛「そんな大それたものに梨乃が行っちゃって大丈夫なの?」 祐「いや、むしろ来てほしいくらいなんだ。ちょうどさっきその話をしてたんだ。急で申し訳ないけど梨乃さえ良ければ…」 力「けど、梨乃だぞ?そんなこと梨乃に無理じゃ…」 さっきも母親の愛梨が手をつけられないほど喚いていた梨乃。 そんな梨乃が公の場で何かをやることなんてできるのだろうか。 梨乃「りの、できるもんっ」 自分が何をするかも理解していないのに根拠のないこの自信。 誰に似たのだろうか。 祐「…クスッ……ん、パパの子だもんな。きっと梨乃ならできるよ。な?梨乃?」 梨乃は祐に大きく頷いた。 どうやら梨乃はやる気満々だ。 祐「じゃぁ、梨乃、頼むよ?」 俺たちの入る隙などなく事が進んでいく―― 祐「ということだから、二人は久しぶりだし仲良くやってなよ…クスッ…」 そう言って意味深に祐に見つめられた愛梨は一瞬にしてその顔を真っ赤に染めた。 祐「…あぁ……なるほどね……クスッ…」 昨夜からの俺たちの情事は彼女のその表情から筒抜けのようだ。 祐「ん、そろそろもう一人出来てもいい頃だよね?…クスッ…」 まさか祐の口からそんな言葉が出るなんて思ってもいなかった俺は驚いた。 祐「まだ作らないの?二人目……」 考えないわけじゃない。 だけど、また俺に懐かない梨乃のような娘が出来たらと思うと踏み切れない。 そしてその二人目も祐に靡いてしまったら――… けど、男の子なら……? 俺は視線を愛梨へと向けた。 すると彼女は俺を見つめながら思いもよらないセリフを口にして―― 愛「…そうだね。ん、頑張ってみよっかな…」
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