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梨乃「じゃぁ、りの、むこうでよういしてくる…」
祐「わかったよ…クスッ…」
食事が終わった梨乃はおままごとの準備をする為に席を立った。
そして張り切ってお気に入りのおもちゃ道具の置いてあるフロアへと向かう。
力「…はぁ~……」
そんな梨乃を見ながら俺はため息をついた。
祐「どうしたの?そんな大きなため息なんかついちゃって…」
祐はコーヒーを飲みながら俺を見る。
力「別に……」
日毎に母親の面影が感じられるようになる梨乃。
そしてその梨乃が俺ではなく祐に懐く姿に俺は軽くショックを受けていた。
祐「別にって……」
祐は今、現役の陸上アスリートとしての道を歩んでいる。
長年の夢を叶え、更に飛躍するためにアメリカで修業を積んでいる。
そして先月行われた某国際大会で見事、その花を咲かせた。
いわゆる『時の人』というヤツだ。
しかもその傍ら大泉グループの仕事も手掛けたりと毎日忙しいとか。
力「で、今日は?」
祐もまた同じこのロスに住んでいるということもあり、近くにきた際には顔を見せることが多い。
結婚後、暫くして俺はアメリカで野球をする為、渡米した。
もちろん彼女も俺についてきてくれた。
ロスには祐がいた。
渡米した際はかなり祐には世話になった。
だが、結婚したというものの、それは籍だけのこと。
結婚しても不安はついて回る。
そんな不安から毎日のように彼女を抱いていたらすぐにコウノトリがやってきた。
これでようやく心穏やかな日々を過ごせると思っていた。
ところが――
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