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暫くすると、玄関のドアホンの音が聞こえた。
予めそこに待機していた私はドアの鍵を開けた。
重いそのドアを開けると、そこにいたのは祐。
祐「元気にしてた?」
愛「うんっ。あ……中に……」
玄関のドアに祐の手が添えられると、一瞬にして私にかかる腕の負担が軽くなった。
そして、そのドアの向こうに隠していたそれを祐はスッと差し出した。
祐「ん……あ、これ……良かったら…」
お土産だろうか。
でも、よく見てみるとそれは私が探していたもの。
愛「…え……うそっ……」
祐「良かったら受け取ってもらえるかな?」
愛「…この前の……覚えててくれたんだ……ん……でも……いいの?」
祐「当たり前だろ?せっかく手に入れたんだからさ、もらってもらわないと困るよ。」
以前、祐の前で何気なく呟いたことをまさか覚えていてくれたなんて。
それはもう入手困難と言われているもの。
プレミアまでついてしまった今、私には絶対に手が届かないと諦めていた。
愛「…嬉しい……ありがとう…」
祐「どういたしまして。喜んでくれて何よりだよ。それよりさ、気になってたんだけど。さっきからいいにおいしてるよね。今日はどんな手料理が食べられるのかなぁ。」
リビングへと続く廊下をいく私たち。
祐はなんだかすごく嬉しそうだ。
愛「あ、うん。ちょっと頑張ってみたんだ。んー…素材はすごくいいんだけどね。味付けはちょっと自信ないかなぁ……」
祐「そう?愛梨の作るものは全部美味しいよ?ん…毎日食べられる梨乃は幸せだよ。羨ましい。」
愛「もう……祐はそうやって持ち上げるんだから…」
祐「本当のことなのに…クスッ…あぁ、梨乃はどうしてるの?」
愛「…ん……今、寝てる……」
祐「じゃぁ、起こさないようにしないとな。」
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