待ちわびた人

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開け放たれたドアの向こうには高層階から見える大都会の景色が広がる。 祐「今日は天気がいいからよく見えるね。」 愛「うん。」 地上45階のその高層階から見る景色は天気が良いと見晴らしがいい。 だけど、高所恐怖症の私にとったら少し怖く、窓際には近づけない。 祐「まだ高いところ慣れないか……クスッ……あれ?」 ふと振り返るとリビングから少し離れた奥の部屋から視線を感じた。 そこにはさっきまで寝ていたはずの梨乃がお昼寝用の布団の上に座って私たちを見つめていた。 愛「梨乃…起きてたんだ?」 梨乃「…ん……ママ……」 そして、私の後ろから祐もまた声をかけた。 祐「りーのっ。元気だった?」 その瞬間、さっきまでボーっとしていた梨乃の目は一瞬にしてキラキラと輝いた。 梨乃「…ぁ……」 立ち上がると、吸い込まれるように梨乃は祐の元へと駆けていく。 そんな梨乃を抱きとめるべく祐は腰を屈めた。 祐「…おっと……」 梨乃を抱きとめた祐はその場に胡坐をかいて座り込むと自身に梨乃を座らせた。 そして梨乃を覗き込むと愛おしそうにその額にキスをした。 祐「暫く見ないうちに大きくなったね。ん…また可愛くなった。」 梨乃「ほん…と…?」 祐「あぁ。本当だよ。ん?その頭……今日も結んでもらったの?」 梨乃は私が学生の頃にやっていたツインテールを気に入っている。 梨乃もまた今日を心待ちにしていたようで、このヘアスタイルにしたいと言って―― 梨乃「うんっ。だってこれ『すき』っていってくれたから……ね?かわいい?」 梨乃は祐にその髪を自慢そうに見せる。 祐「可愛いよ。凄く似合ってるよ。ママもすればいいのにね?」 そう言って祐は意味深な顔をして私に視線を飛ばした。 愛「ママはもういいの。もう勝負は終わったから…」 梨乃「しょーぶ?」 祐「ん……勝負かぁ。勝負ね…クスッ……あぁ、そうだ。勝負と言えば…」 祐は近くに置いてあったバッグに手をかけた。 そして、その中からあるものを取り出した。 梨乃「…あっ…」
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