愛しい君

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さっきまでの疑いは彼女との抱擁で一気に晴れた。 力「ただいま…」 久しぶりに感じられたその温もりがさっきまでの俺の凍りついていた心を溶かしていく―― 愛「会いたかった……」 そう言って俺の背中に手を回したその圧から、彼女が俺を本当に心待ちにしていてくれたのだと感じた。 力「俺も……」 そっと彼女を腕の中から出せば彼女が俺を見つめている。 愛しいその人はキスをねだるように瞼を閉じた。 そんな彼女に応えるべく俺は彼女の唇にそっとキスを落とした。 唇から伝わる彼女の温もり―― (…あぁ……帰ってこられて良かった……) 目を開けると幸せそうな顔をした彼女が俺を見つめていた。 そして、またキスの催促をするかのように背伸びをして瞼を閉じようとする。 力「…祐いるけど……?」 愛「…ぁ…」 祐の存在をも忘れるほど、俺に気を取られていたその事実。 それは俺が待ちわびていた瞬間。 力「…あとで……な?」 悪戯に笑うと彼女は恥ずかしそうにコクリと頷いた。 何も変わらない彼女の姿はあの頃のまんまだ。 あの桜の木の下で再開したあの日――― 俺たちは結婚した。 
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