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「本当に、本当に申し訳ありません!」
目の前の少女が深々と頭を下げている。
「……頭上げていいから」
頭の上に付いてる耳もシュンと下を向いている。
「でも、でも……」
「いいから、話もちゃんと聞いてやるよ」
言うな否や、ガバッ!と頭を上げる少女。その目は話を聞いて貰えるからなのかキラキラと輝いて、尻尾も後ろでフリフリと左右に揺れている。
「……で、半年ぶりぐらいか?てから此処ってどこなんだ?いつもの場所と違うよな?どうなってんだ?」
少女は少し照れ臭そうに話し出す。
「えっと、それはですね……、マンネリ解消と言いますか……いつも同じ場所だと飽きちゃうかなぁ?って思って場所変えてみました!」
コケた、物理的に。
「そんな理由で此処選んだんかいっ!まてまて、周りなんもないぞ?王都から結構離れてんじゃないか!?てか、あの大広間の魔法陣じゃないと召喚出来ないんじゃなかったのか!?」
「あ、あの魔法陣は雰囲気作りの一環で……」
コケた、物理的に(2回目)
「アホかぁぁぁぁ!そんな所に力入れる前にする事あるだろーがぁぁぁ!そんなんだから俺を呼び出す羽目になったんちゃうんかぁぁぁあ!」
本音が出た。出さずにはいられなかった。うん、これは仕方ない。
「……ヒグッ」
あ、いかん。
涙目になってる。泣き出すとヤバい。めんどくさい。
鎮火だ、消火だ、急げ!
「わ、悪い、言い過ぎた。俺の為を思ってくれたんだもんな?ありがとな?」
異世界に呼び出されてすぐに人狼な少女を泣かしそうになり、機嫌を取っている俺。
端から見ればどう映るのだろうか?
「ユ、ユウヒ様がぁ、あ、飽きてしまわれ、な、ないようにぃ」
「分かった。分かったから!ホントすまんかった!」
……なにしてんだろ俺
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