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「三上…さん」
「ん?」
彼氏気分の俺に怖いものはない。アイドルの彼女か。やっかみが凄そうだ。
俗に男性アイドルファンは女性アイドルの彼氏を攻撃することはないそうだが…腹にジャンプでも仕込んでおくか。
不安になるぐらいならアイドルの彼氏失格だよな。
「私…私は私になりたいんです」
「え?」
聞き返した瞬間。機体が大きく揺れた。
「ーー⁉」
「きゃっ…」
混乱する機内。流れたアナウンスに安心はできなかった。
「揺れましても、飛行の安全性には問題ございませんので、ご安心ください」
まるで定型文だ。
俺はとっさに沢渡柳を抱き寄せる。
「あっ…」
セクハラ言っている場合じゃない、一大事だ。旅に慣れている者でも揺れは怖い。
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