低飛空の出逢い

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「ア、アイドルと機内で遭遇するなんて…握手してくれ」 「はい」 握手券無しのタダ握手に感動が収まらない。なぜアイドルがしがない旅人の俺に…?めくるめく妄想が脳内をスパークさせる。 妄想だけならタダだよな。緩みっぱなしの俺の顔を見てクスッと彼女は笑う。 お、アイドルスマイルだ。ラッキー、タダで拝めたぜ。 テキストだけ読んだらアイドルマニアだよな俺。 「私ずっと見てたんです。あなたのことを…。」 「え…⁉」 機内から始まるラブストーリーも悪くない。このまま二人で逃避行しよう。 ラブフライトOK?テイクオフ?RIDE ON TIME?山下達郎? 飛び回れこのMy Heart? 「wowwowwow〜♪」 「あの…」 ハッ、俺は今何をーー ずっと見てたってどういうことだ? 「ゲーム、されてましたよね?その姿がすごく楽しそうで……。 私、一人旅が不安になって……。」 今にも泣きそうな彼女をなだめる。事情を訊いてみるしかない。 大きな瞳に小さな唇。間近で見たら(ファンだったら)事件を起こしかねない。 変装も無しによく乗れたな。ていうか解散後は何をしていたんだろう。 その辺りを深堀したい。 あくまでミーハー心で訊くだけだ。やましい気持ちはナッシング。
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