先輩が男として見てくれないから

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先輩が男として見てくれないから

実力次第で出世できるこの時代。 二十八歳の時に実力を認められた私は、係長に昇進した。 それから二年が経ち、三十代に突入すると一気に老けたような感覚に陥ったが、恋などに一切目を向けなかった私。 新人を育てながら仕事をこなし、このまま行けば課長昇進もそう遠くないとすら言われていた。 しかし、最近は課長昇進が危うい状況に立たされている気がする。 「松原(まつはら)はいつも仕事が早いなぁ。 将来的に有望な社員だ! 人事部にも松原の名前が行き届いている。 二十代にして課長も夢じゃないぞ」 今日も上司がわざとらしく、大きな声で一人の男を褒めていた。
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