先輩が男として見てくれないから

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「本当に申し訳なくなって、入社して間もないのに“退職”という言葉が頭に浮かびました。 でも先輩が『失敗は付き物だ、いつか君がこの仕事で活躍する日が来ると信じてる』って言ってくれて。本当に救われたんです」 今思い出すと懐かしい。 あれから彼は瞬く間に成長していき、今は期待の星とまで言われていた。 「ずっと先輩の背中を追い続けてきたんです。 先輩と肩を並べられるようにって。 怖がられる先輩だけど、本当は優しくて気配りもできて。フォローもしてくれる、そんな先輩の思いやりにみんな気づいていない」 「……っ」 彼の言葉に不覚にも泣きそうになってしまった。 『園田さん、君は確かに仕事ができるが地味すぎる。何より見た目で恐れられているぞ』 ある日、上司に言われたこの言葉。 “地味すぎる” 仕事ができても“地味すぎる”という理由で軽く注意を受ける、それが悔しくてならなかった。
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