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もちろん彼のようなキラキラ王子様になんてなれないのは知っている。
けれどいくら見た目が悪いからって、仕事と結び付けないでほしいと思っていた。
「頑張り屋さんの先輩に認めてもらうには、僕も仕事を頑張るしかないなって」
「それならもう大丈夫、あなたは私より仕事ができるもの」
少し嫌味っぽい言い方になってしまっただろうか。
けれどもうなんとも思っていない。
私のことを彼は気づいてくれた、それだけで十分である。
「僕なんかまだまだです、先輩の力が必要で…」
「心配しないで、私も胸を張って言えるわ。松原くんはやり切れるって」
上司も認めるくらいだ。
ここは潔く負けを認め、私は私なりに頑張ろうと思った。
けれど───
「……はぁ。そんな純粋な心、“俺”が求めてるとでも思っているんですか」
「はい?」
「俺はね先輩、男として見られたいだけなんです」
突然呆れた様子で話す松原くんは、いつもと雰囲気が違う気がした。
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