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「だから?
松原くんは男じゃない」
「そうじゃないんです。
俺が今までどれだけ頑張ったと思ってるんですか」
「出世のためなら仕方ないことでしょう」
「出世なんかどうでもいいんです」
「……はい?」
衝撃的な発言に、目を見張る。
彼は今なんて言ったのだろうか。
もう一度聞きたいほどである。
「ここって確か、先輩のお気に入りの場所ですよね」
呆然とする私を完全に無視し、屋上を見渡す彼。
何が目的なのかわからない。
「だから何?」
一人で過ごすのに丁度いい場所だったけれど、彼には関係ない。
「せっかくいい感じの空気に持って行きたかったのに、先輩が純粋すぎるから」
「松原くん?」
「初めから迫っておくべきでしたね」
なぜかネクタイを緩めた松原くんは、私を見てにこっと笑みを浮かべるけれど。
嫌な予感しかしなかった。
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