優子、再び

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優子、再び

佐藤優子と私(中村アイ)は中学生からの親友・・・だと思っていた 少なくても私は なのに中2の夏休みが明けて学校に行くと優子は登校して来なかった 夏休みにお母さんの実家に遊びに行くと言っていたのでまだ帰って来ていないのかな? と、でもおかしいなと思いながら先生が来たら何かわかるのではないかとざわついた気持ちを抑えていた ホームルームが始まって宿題とか課題とか提出し終わったあと先生が話し始めた 夏休みはみんな、何事もなく終わって先生としてもホッとしています えー、みんなも、もう、気が付いていると思いますが佐藤優子さんがおうちの事情で夏休みをもって転校されました みなさんに、何も言わず転校することになってしまい、優子さんも大変、気にやんでいました みなさんも、察してあげてくださいね 私はびっくりして頭が真っ白になった 私にくらいは言ってくれても良かったのに!もう! と、恨む気持ちもあったりして、それきり引越し先など先生にも聞かず仕舞いだった それからだいぶ時が過ぎたけど優子のことなど思い出すことはなかった でも、青森の大学院に編入してから、急に優子のことを思い出すようになった 大学院で別の研究グループにいた男子を見たときだった その男子は美形でありながら飾らない人柄で、人気者だった 私は引っ込み思案だから なかなか話しかけられなくて話したことはなかったけどカッコイイなと思っていた そういえば、中2のときにあの子がいなくなった理由はなんだったのか? 何故か彼を見ると優子のことを考えたりして、自分でも、へんなの!と思っていた 研究グループでも、彼の周りにはいつも女子がいて結局、挨拶程度しか出来ずそのまま卒業となってしまった 私は希望の会社に入社するべく資格を取ったりすでに入社している先輩にお話を聞いたりして準備していたので第一希望の会社に入社する事が出来た 晴れて入社式の当日 リクルートスーツをバシッと決めて出社すると 彼がいた! 彼! えー、同じ会社だったの? 仕事の分野別での試験だったので知らなかった 一年くらいして、仕事で一緒になることも度々出てきたある日のこと 中村さん、ぼくと同じ大学院にいましたよね? えっ?知ってたんですか? 別の研究グループだったし青山君の周りにはいつも女子がいて話せなかったし 私は私で引っ込み思案だから目立たなかったでしょ、知っててくれてたなんてびっくり そうかな、話したことなかったっけ? ないです! あると思うけどな ないですよ! ふ〜ん、まっ、いいか ある日、大きなプロジェクトが成功して打ち上げがあった帰りのこと お酒に弱い私は少し酔ってしまった 上司が青山、中村を送って行ってくれと半業務命令で言いつけた すると、ちょっとカフェでも寄ってから帰ろうと青山君が言うのでそうすることにした 酔い覚ましに少し歩いてからカフェに入った ふたりで、つめたーいアイスコーヒーを飲み干して フーとか言っておやじみたいだと一緒に笑った 話していくうちに青山君がちょっと気になることを言い出した 中村さんて、神奈川の出身? えっ、そうですけどなんで知ってるんですか? カン カン? そう、中村さんのことわかるんだよ、不思議にね またまた〜、何かのプロフィール見たんでしょ (青山君笑ってる) あのさ、中学の時転校した友だちいなかった? えっ? いたけど・・・なんでそんなこと知ってるんですか? カン カンて すごいね!霊能者?って? な、わけないでしょ 何を知ってるのか話してくださいよ じゃ、告白するよ、今夜 ・・・ちょっと怖いけど、うん あのーー その転校して行った子って女の子だろ そう その子、どうして転校して行ったかを知ってるんだ えっ?そうなんですか その子の両親が離婚する事になってお母さんの実家の青森に引っ越したんだよ で、当時その子も重大なことで悩んでいたんだ 見た目は女の子だったけどココロは男の子だと気がつき始めたわけさ 悩んだ挙句にお母さんに打ち明けたら お母さんは親身になって聞いてくれたよ 何人かの専門の医師にかかり、性同一性障害と診断された 20歳を待って戸籍上も身体も男性になったんだって もしかして佐藤優子さんが男性に? 青山さん、親戚か何かですか? うーん 偶然なんですけど青山さんを見ると忘れていた優子のことを思い出したりしていたんです 本当に?嬉しいな だって優子とはすごく仲良しだったから それで優子は今、どこに? ・・・ 今、優子は元気ですか? ・・・優子は死んだよ えっ 優子は死んだけど 青山優となって生まれ変わったんだ 青山さん? でも佐藤優子さんのことですよ 佐藤から母親の旧姓の青山になったんだよ そして男の名前にするために優と変えたんだ えっ? まさかあなたが優子なの? そうだよ 中学生だったけどもう、ココロの中は男子なんだってわかったんだ 当時から君のこと 中村アイのことが好きだったんだよ ふざけてじゃれ合いながらドキドキしていて鼓動が聞こえやしないか心配だった あの時は黙っていなくなってごめん ぼくも辛くて会ってしまったらおかしくなりそうだったんだ、だから そうだったの・・・ でも人間てだれもが両性を持っている気がするの 何を隠そう私も両方大丈夫だから ウフフ えっ?君は両方?! 私の笑顔の横で青山君、凍りついていたけどなぜかな? おしまい
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