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2話 確認
「え!?それは付き合えたって事!?」
「いや、私にもよく分かんない……」
私は昨日のことを親友である鹿島桃華に話していた。
桃華の見た目は、俗にゆうギャルの部類、金髪で肌は黒く、いつもハイテンション。だがこれと言って男遊びがはげしい訳では無く、正義感が強い、そして男勝りな性格の為、男子からは異性というより友達として人気が高い。
「へー、まさかサンシャ○ン○崎の真似でとおるとはね~」
桃華が反芻するように何回も言うので、そのたびに、あの事を思い出して死にたくなる……
「まぁ、それで確認したいけど違かったばあい恥ずかしいなぁって……」
「ふーん、でも悩んでも仕方ないし、放課後に会って確認してみれば?」
嫌でも、まだ面と向かって会うのは恥ずかしいし………
「やっぱり電話で……」
「ヘタレだね~、まぁ良いんじゃない?」
その後の授業中、マジで集中できなかった。
何回も何回もあのときの事を思い出してその度、顔を赤らめて「死にたい…死にたい」と呟いていた。もうそれはメンヘラ女子のごとく。隣の男子の引きつった表情が、さらに私のメンタルへダメージを与える。
そしてやっと授業が終わって、駐輪場に桃華と待ち合わせして集まった。
「早速確認しちゃおうよ!連絡先交換したんでしょ!?」
桃華は、ウキウキした目で、事を進めようとする。恋話とかになるといつもこうだ。
「いやそうだけどさ、やっぱ心の準備が……」
顎に手を当てて、どう切りだそうかを考えている時、
私は桃華の手に携帯があるのに気が付いた。よくよく見るとそれは、さっきまでカバンに入れていたはずの、私のスマホだった。
焦って確認するが、カバンに入れて置いたスマホは跡形もない。
「貴様はプロのスリかなんかかぁぁぁ!」
そして追いかけっこスタート。
今までした事もない鬼の様な形相で追いかける。
だがスポーツ万能の桃華と、小説大好きメンヘラモドキの私が追いかけっこなんかしたら、まぁ結果は明らかな訳で……
桃華は私に追われながら、巧みな手付きでスマホを操作していく。するといきなり桃華が急停止して、私のスマホを投げてきた。
死にものぐるいで受け取って画面を見ると、
そこには、「水澤くん、携帯」の文字が。
しかもすぐに繋がった。
「どうしたの~」
「え、あ、ごめんいきなり!」
電話で分かるぐらい水澤君の周りは笑い声で一杯だった。友達と帰ってるのかな?
「あ、ごめん、友達と帰りよう途中やった?」
「いや~?とっくの前に家には帰ったよ?」
…ん?いま授業終わったばかりなんだけど……
てゆうかだとしたらいまどこにいるんだろ。
「水澤君、いまどこに居るの?」
「え?スランプっていう若手芸人のライブだけど?」
……帰ってすぐにお笑いのライブに行くの………?てゆうか早すぎん?
「そういえば結局なんで電話してきたの?」
あ、そうだった、あまりの衝撃で本題を忘れてた。
私は、改めて深呼吸して、心を落ち着かせてから。
「私と水澤君は付き合ってるの?」
と聞いた。
聞いた瞬間、色んな思いが頭を駆け巡った。
これで違かったらどうしよう、違かったらこれ妄想癖の地味メンヘラキャラじゃん。違かったら明日から生きていけん……
「そうだよ?昨日言ったじゃん。もうそろそろ周りのお客さんに失礼だし切るね」
「え、ちょっと待っ!」
………切れた。
「どうだった?」
桃華が深刻そうに私の顔色を伺いながら尋ねる。若干罪悪感でもあるのだろうか?だとしたら最初からすんな。
「いや、なんかちゃんと付き合ってるっぽい」
でも…これは喜んでいいものなのか?
せっかく確認ができたのに、釈然としない気持ちで、私は立ち漕ぎで帰路に着いた。
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