4話 伝えたい事

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4話 伝えたい事

まず私が水澤君を連れ出したのは、通天閣。 死ぬほど長い行列に並び、めっちゃ時間の掛かるエレベーターに乗って展望台に付いた。 窓からは市内を一望でき、併設された望遠鏡は子供たちによって占拠されている。 「綺麗だね!水澤君!」 「あぁ、うん、そ、そうだね」 水澤君はまだ理解できてないようで、焦点が景色にあっていない。水澤君の困惑顔が珍しくて、思わず笑みが溢れる。 「さぁ!水澤君!降りるよ」 「え?」 さらに困惑して固まる水澤君の手を強引に引っ張って通天閣から下ろすと、 「次はあれ!」 と言って、通天閣近くのたこ焼き屋さんを指差した。 二人分のたこ焼きを買い、アツアツのたこ焼きを頬張った。とにかく熱いので、ハフハフしたり、手で扇いだりして食べた。その様子が可笑しくて、二人同時に吹き出した。 食べ終わって間髪入れず、 「次はあれ!」 と言って、また水澤君を強引に引っ張った。 その後も色んなところに行った。 観覧車から見える小さな大阪城興奮したり、ドンキでやっすいコスプレグッズを買って、 街を練り歩いたりもした。 そうしている内に、最初の戒橋に戻ってきていた。辺りはすっかり日も落ち、人もまばらになってきていた。 「水澤君さ、楽しませ方が分からないみたいなこと言ってたよね」 水澤君は、改めてそのことを思い出したのか、表情が曇っている。 だから、ここは敢えて図々しく。勇気を持って、あのサンシャ○ンをやった時のように。 「でもさ、今日一日水澤君と一緒に居た私さ、退屈そうだった?」 水澤君は少し上の法を仰ぎ見ると、ハッと気づいて、視線を私の方に戻した。 「だからさ、私は水澤君と一緒に入れるだけで楽しいんだよ!いつも通りの水澤君でいてくれたらそれで……」 私はバンパイアのコスプレ衣装をなびかせながら言った。 「こんな格好して言う事じゃないんだけどね」 私は頭を掻き、苦笑しながら言った。 等の水澤君は、囚人服を着て、呆然としていると思ったら。 少し涙を拭い、自信満々の顔に戻った。 「いや、その格好もあるんだけどさ」 水澤君は、自信満々に溜めてから、 「草薙さん、もう終電終わるよ」 私は、急いで携帯を見た。確かに終電間近、全力で走れば間に合いそう。 「水澤君!走るよ!」 私は、バンパイアの格好のまま、女子高校生らしからぬ超必死走りで駅絵と向かい、囚人服の水澤君も笑いながら続く。 大阪の夜の地に、福岡生まれのバンパイアと囚人の足音が鳴り響いた。
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