孤独な引退

1/1
前へ
/7ページ
次へ

孤独な引退

 短い様で長かったとも思える刑事人生に幕を下ろし、男は馴染み深いバーで一人、自分に乾杯していた。  気の緩みのせいか男は思っていた以上に酔っていた。    泥酔とまではいかない中、それでも男は、ある事件に囚われていた。    それは、男が刑事として脂がのってきた頃に担当した、ある未解決誘拐事件だった。   犯人は闇に姿をくらまし、犠牲者の中学生は未だ、消息不明である。  身代金の要求はあったが犯人は、それを奪いに来る気配すらなかった。    
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加