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孤独な引退
短い様で長かったとも思える刑事人生に幕を下ろし、男は馴染み深いバーで一人、自分に乾杯していた。
気の緩みのせいか男は思っていた以上に酔っていた。
泥酔とまではいかない中、それでも男は、ある事件に囚われていた。
それは、男が刑事として脂がのってきた頃に担当した、ある未解決誘拐事件だった。
犯人は闇に姿をくらまし、犠牲者の中学生は未だ、消息不明である。
身代金の要求はあったが犯人は、それを奪いに来る気配すらなかった。
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