行進曲

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――バーニアを、助ける。  信じるんだ。この一歩を。  突き出した掌に力を籠めて。  熱く。  蛇龍に狙いを定めて。  輝く。  大きく息を吸い込んで。 「うらああああっ!!」    留めていた光を、放った。    青白い稲光が、轟音と共に迸った。    衝撃。  吹き飛ばされそうだ。  腕から全身に掛かってくる。  足を、踏ん張って、体勢を戻す。  目を焼くような雷光が消え、雷鳴の残響の中。  雷は、蛇龍を少し逸れて壁に当たっていた。  外した、と、バーニアは無事だ、なんて考えが渦巻き始めた瞬間、彼女はニヤリと笑った。 「役に……立ったな」  言葉の意味を理解する前に、バーニアの腕に絡み付いた蛇龍が燃え上がった。  身構える。  が、蛇龍は金切り声を上げて彼女の腕から離れて、地面をのたうち回る。 「お陰で……気が……逸れ……」 「っ!バーニア!」  バーニアは崩れるように、片膝を付く。駆け寄り、支える。呼吸が荒い。 「バーニア!大丈夫か!?」  蛇龍の甲高い声が響く。  一層声を張り上げて、蛇龍は火を振り払っていた。  バーニアは舌打ちをして蛇龍を睨む。  蛇龍は素早い動きで、表通りに向かっていく。 「待て!」  追おうとする体を、バーニアを気遣う気持ちが引き留める。  蛇龍を野放しにできない、でも、バーニアを放っておけない。  考える間に、蛇龍はどんどん離れていく。  どうすればーー。  その時。  上空からはためく音。  青いローブが、目の前に降り立った。  ローブから伸びた腕の先には、人の顔大の輝く輪が握られていた。  ローブの男は輪を勢い付けて放つ。輪には、同じく輝く縄が付いていた。  輪は内に蛇龍を捉えると、意志を持つかのように急速に締め上げた。  輪に捕らわれた蛇龍はもがいていたが、徐々に力を失うように大人しくなった。  一瞬の出来事に、僕は唖然と口を開けたままだった。 「魔法使い……」  バーニアが忌々しそうに呟く。  ローブの男は縄を引き、蛇龍を足元に近付ける。 「こいつが件の蛇龍か……。そして」  男は僕たちの方を振り向く。  命運を定めるような、鋭い目。 「お前たちは……龍か?人か?」
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