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いない……。いない! ピピちゃんが……いないぞ!
朝起きたら、家で飼っているセキセイインコのピピちゃんが、鳥籠から姿を消していた。
僕は絶望した。僕には友達がいなくてピピちゃんが僕の唯一の友達だったんだ……。
毎日お話ししたり、一緒にテレビゲームで遊んだり、ご飯食べたり、お風呂入ったり、映画見に行ったり、色んなスポーツをしたり、ゲームセンターに行ったりする仲だった。
それなのに……なんで、なんでいなくなっちゃったんだよ。ピピちゃん……。
鳥籠には簡単には脱出出来ないように仕掛けをしておいたというのに、どうやって脱出したんだろう……。
僕は家の中を必死になって探し始める。
「どこだピピちゃん! どこにいるんだよ!」
「あら? 拓也。どうしたの?」
ピピちゃんを探していると、母さんとすれ違った。
「ピピちゃんがいなくなっちゃったんだよ!」
「あら! それは大変! お母さんも探すわ! でも拓也、学校に行かなきゃなんないでしょ? 後のことはお母さんに任せて」
「うっ……。うん、わかったよ」
僕は朝食を摂り、仕方なく学校に向かった。
通学路でも僕は、歩きながらキョロキョロと見回して必死になってピピちゃんを探していた。
しかし、全く見つかる気がしない。
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