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「ただいま……」
台所で母さんを見つけては挨拶をする。
「あ、おかえり拓也」
真っ先に僕は知りたいことを母さんに聞く。
「ね、ねぇ、母さん。ピピちゃんは見つかった?」
母さんはその言葉に、僕から目を逸らして答えた。
「ごめんね……。見つけられなかったわ……」
「そんな……」
頼みの綱だった母さんまでも、ピピちゃんを見つけられなかった。
僕は膝を付いて落胆する。そして、
「ううっ……ひぐっ。うあああああああん!!」
今まで抑えてきたものが溢れ出てきてしまったのだった。
「拓也……」
母さんはそんな僕をギュっと抱きしめてくれる。
僕はただ涙を流すことしか出来なかった。
しばらく泣いて泣いて泣きまくって、落ち着きを取り戻したら、僕はピピちゃんの鳥籠がある自分の部屋に向かった。
嫌だなぁ。ピピちゃんのいない鳥籠、見たくないなぁ。
そんなことを思いながら、僕はドアノブを引いて自分の部屋へと入って行く。
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