言えないこと

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あの日のことは、 今でも忘れない。 彼はみなちゃんを抱きかかえ、 そのままふたりは空に消えた。 それが、私がふたりを見た最後の姿。 彼の背中には羽根がある。 黒くて大きな羽根。 彼は天狗の子だった。 みなちゃんも私も 羽根が生えてようが 天狗だろうが、 風の事が大好きだった。 でも、みなちゃんの好きは 私の好きとは違った。 そして風も同じだった。
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