夜のバス

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「あなたって、本当につまらない男・・」  女の突き放すようなセリフが最後だった。その言葉以外には何も思い出せない。  その後、どんな行動をとったのかも、はっきりと思い出せない。  本当に憶えていないのだ。  女はまだ家にいるのかもしれないし、部屋を出て行ったかもしれない。  あり得ないことだが、こんな推測もしてみた。  もしかしたら、俺は女に手をかけてしまったのかもしれない。その発覚を恐れて逃げていることも考えられる。  だが、手や服を見ても、血は付いていない。  記憶が曖昧であるにも関わらず、俺の足はバスの発着場に向かい、  気がつくと、このバスに乗っていたのだ。
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