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目と口
◆目と口
ガクンと、強い揺れを感じ、俺は目を覚ました。
首が折れるのでは、と思ったほどの強い揺れだった。大きな石にでもぶつかったのか?そんな揺れだった。
目を開けても、そこは夜の世界だった。
大きな揺れだったのにも関わらず、騒いでいる乗客は一人もいない。お通夜のように静かだ。
窓の外に目をやる。
道が狭くなったのか、さっきより、人家が近く、その灯りが間近に迫って見える。
窓は、大きいのから小さな窓まで。格子の窓や、出窓のようなタイプ、と色々だ。
腕時計を見ると、10時。
全ての窓に灯りが点いていてもおかしくはない。
おかしくはないが、窓の灯りが全て点いていることに、何かの違和感を感じてしまうのは考え過ぎだろうか?
目の前を家の灯りが、流れていく。目は灯りを追いかけるが、すぐに次の灯りへと視点が移り、更に目の疲れを誘ってしまう。目が痙攣のように行ったり来たりする。
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