目と口

1/4
151人が本棚に入れています
本棚に追加
/531ページ

目と口

◆目と口  ガクンと、強い揺れを感じ、俺は目を覚ました。  首が折れるのでは、と思ったほどの強い揺れだった。大きな石にでもぶつかったのか?そんな揺れだった。  目を開けても、そこは夜の世界だった。  大きな揺れだったのにも関わらず、騒いでいる乗客は一人もいない。お通夜のように静かだ。  窓の外に目をやる。  道が狭くなったのか、さっきより、人家が近く、その灯りが間近に迫って見える。  窓は、大きいのから小さな窓まで。格子の窓や、出窓のようなタイプ、と色々だ。  腕時計を見ると、10時。  全ての窓に灯りが点いていてもおかしくはない。  おかしくはないが、窓の灯りが全て点いていることに、何かの違和感を感じてしまうのは考え過ぎだろうか?  目の前を家の灯りが、流れていく。目は灯りを追いかけるが、すぐに次の灯りへと視点が移り、更に目の疲れを誘ってしまう。目が痙攣のように行ったり来たりする。
/531ページ

最初のコメントを投稿しよう!