続編 脳ストライク2ボール【孫と共に】

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二、    「おじいちゃん、体は大丈夫?」 「俺は大丈夫だ。  しかし、戦闘機で衝突寸前まで覚えてるんだが…。  陸だったな、陸は飛行機が墜落したのは、聞いて分かったが、しかし何故、戦闘機の壊れた残骸が、ここには無いんだ!  そして、ここは太平洋沖でも無さそうだ……。  周りは、白銀の世界。  氷の山まであるぞ。  陸、飛行機が墜落したのは何処だ?」 「おそらく、アラスカ沖だった気がする。」 「ここは、もしかしてアラスカか…。  それにしても、何もない所だ。  寒すぎる……。」   「僕は時空を超えて、おじいちゃんに逢いに来た気がする。」 「時空???」 「なんだ、それは……。」 「俺達の時代は、ドラえもんとか、未来や過去を行ったり来たりする漫画や海外の映画でもバック・トゥ・ザ・フューチャーってSFとか沢山有るんだよ。」 「なんだそれは、意味分からん!  それが現実に、私達が体験してるのか?  しかも陸が、俺の脳に入って!」 「そうみたいだね!僕は慣れているけど、それにしても、寒すぎるよ。  おじいちゃん、薄ぺらい戦闘服のジャンバーじゃ凍死してしまうよ。」  ところで俺の事を、おじいちゃんって呼ぶな!俺は、まだ二四歳だぞ!」 「僕も二四歳、同じ歳だね!でも、おじいちゃんは、僕のおじいちゃんなんだから、いいんだよ。  僕、おじいちゃんと一緒にいたから慣れているんだ。  今、どうなっているか分からないけど、おじいちゃんが居るから安心してるんだよ。」 「あっ、あそこに洞穴みたいな所があるぞ。  取り敢えず、行ってみるか、アメリカ人に気をつけろよ。  見つかったら、殺されるか捕虜になるぞ!」    二人は洞穴に着き、焚き火をして体を温めた。 「そっかぁ…。陸の脳に私が入っていたのか…。」 「三年間だったけどね…。  僕、おじいちゃんに友達の作り方や野球なんか、短い間だったけど沢山いろんな事を教えて貰ったよ。  でも、だんだん脳は小さくなって結局は、僕の脳から、おじいちゃんは消えてしまったんだ…。  最後の日、お父さんの生まれ育った大阪に行って、おじいちゃんと別れを告げたんだよ。」 「私の今の家に行ったのか?」 「行ったよ。  でも、そこには、おじいちゃんの家は、無くなってホテルになっていた。」 「そっかぁ…。陸が私の家に来たのは、何年後になるんだ…。」 「えっと、おじいちゃんが戦争で死んだのが一九四四年で、えっ……と、そして、二回目におじいちゃんが死んだのが二〇〇三年だから両手でも足りないや。  あっ、携帯電話も無いんだ……この時代は……両手で計算するよ。  えっと、多分、五九年前だ。  そして、僕が飛行機事故になったのが六年後だよ。」 「計算、遅いなぁ……ソロバン使えたら簡単な計算だぞ!指で暗算出来ないのか?」 「ソロバンだって?  笑える〜ぅ、携帯電話で何でも出来るし、ソロバンなんて学校の授業で、少しだけ習ったけど誰も、持ち歩いてる人なんていないよ。  おじいちゃん、変わってないね!  せっかく、僕らの時代に、少しずつ慣れてきてたのに、携帯電話って言う物は、もちろん話せるし、メールってのも有るんだよ。相手に文字を送ったりね!」 「それは、私達の時代も有ったぞ!  春江とは、恋文のやり取りを沢山したもんだ!」 「それは、手紙!メールは相手に飛ばすの!」 「飛ばす???」 「もう、いいよ。説明してたら日が暮れるよ。」 「さっきの話だが私は、二回も死んだのか…。  しかし、私は生きている。  今度、死んだのは陸か?  でも、私の脳で生きている。  三年間後、私の脳から陸は消えるのか?  全く意味が分からん。  ところで春江は元気か?」 「おばあちゃんは、僕が小学生の時に、七五歳で亡くなったんだ。  凄く優しかった。  親が共働きで、僕はおばあちゃんに育てられたんだよ。」 「そっかぁ…。亡くなったかぁ…。  春江には、心配かけたなぁ…義男は元気にすくすく成長してるか?」 「おじいちゃん、あんまり、僕を笑わせないでよ。  義男は、僕の親だよ。  元気にすくすく成長したらヤバいって!  お父さんもお母さんも元気だよ。」 「義男は結婚したのか?」 「だから、僕は、ここにいるんじゃないか!もう、いい加減にしてよ。」 「すまない。  陸は、私と一緒の職業野球に入ったのか?」 「職業野球?笑えるなぁ。  もう、勘弁してくれよ!  やっぱり、おじいちゃんだぁ。  僕らの時代は、プロ野球だよ。  僕、結構、活躍したんだよ。  おじいちゃんが居なくなっても…  おじいちゃんに見せたかったなぁ。  そして僕も家族がいるんだよ。  一歳になる、空って言う男の子と妻の明美。  明美は、一緒の飛行機に乗っていて客室乗務員をしてたんだ。  そして、墜落…。  明美は生きているんだろうか…?  駄目かも知れない。」 「すまなかったな…。辛い事を聞いて。」    
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