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「サーシャ、心配かけてごめんね、本当に、今までごめんなさい」
「ううん……。良かったわ、まだ間に合う。今から大臣たちにも話して、この王座もお姉様に」
「……ごめんなさい。私はね、地位も、国も捨てたの。あなたの姉であることも……本当は今日、ここへ来るべきじゃなかったのよ」
ユーリの言葉に、サーシャは目を見開いて1歩ずつ後退していく。
「捨て……え……?」
ユーリはふっと微笑むと、月明かりの入る窓の方へと歩いていき、窓を開けると星の輝く夜空を見上げた。
「私は、王にはならないわ。……なれない。これからもずっと、踊り子として生きていく。サーシャ、あなたこそこの国の女王に相応しい。国を愛し、平等で、知識は深く、思い切った決断もできる。絶対に素晴らしい王になるわ。……あのね、今日、私に会ったことは秘密にしてほしいの。私はこのまま、死んだことにして欲しいの。お願いよ」
サーシャは信じられないと言いたげに、言葉を探した。
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