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3日後。
城から離れた郊外の教会で、ユーリはひとり祈りを捧げていた。
中央のステンドグラスには女神が描かれ、太陽の光で色とりどりに優しく煌めいている。
「すでにおいででしたか」
教会の扉が開くと、一人の男が歩み寄りユーリに声をかけた。
ユーリは身軽に立ち上がると、女神のような笑顔で振り向いた。
「アルベル、久しぶりね」
「直接お会いするのは1年振り……でしょうか。あの時は助かりました、おかげで国の防衛を固めることが出来ましたから」
「いいえっ。そんなことより、先日はわがままを聞いてくれてありがとう。サーシャには会わないと決めていたのに」
「いいえ……。それにこちらこそ、素晴らしい舞を拝見しました」
「ふふっ、嬉しいわ。……サーシャはどう?」
「しばらく考え事ばかりしているご様子でしたが、今はもう吹っ切れたように清々しい笑顔で働いておられます」
「良かった、本当に……」
「サーシャ様には真実を話されても良かったのでは? 貴方様は国のために各国の諜報活動を……」
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