私の光

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──10年後 「今年こそはと思ったのに……なかなか、抽選は当たらないものよね」 石畳の敷かれた城下町の中心地。 普段よりも人通りの少ない市場で買い物をしていた女性は、隣を歩く夫に言った。 「生誕祭の抽選の倍率は、すごい確率だったようだな」 「それはそうよ、サーシャ王様の生誕祭ではレティーの演舞が義務付けられているもの」 「1度でいいから舞姫様の舞も見てみたいものだな」 「本当ね、抽選が当たってれば私も今頃……」 女性は北の丘の上に聳え立つ石造りの城の方に目をやり、小さなため息をつく。 「それにしても、世界でも指折りの踊り子が我が国から出るなんて鼻が高いな」 「ええ。世界でも発展速度が目を見張るこの国も誇りですし。来年こそは拝見したいわ、サーシャ王様も、舞姫様も」 「ハハ、本当だな」 そんな会話があちこちで囁かれる街の青空に、お祝いを知らせる花火が高々と上がった。 End
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