霊媒

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私は以前知り合った、ある霊媒を生業とする人を静恵さんに紹介しようと考えたのだ。 その人物なら何か解決の糸口を掴めるかも知れないと思った。 その霊能者は北畑さんという男性だった。 この人と知り合ったのは以前、四国に取材で訪れた時だ。 ある女性から聞いた怖い話の中に、北畑さんの名が出たのが始まりだった。 その女性は廣川さんという三十代の主婦だ。 彼女の体験談はこうだ。 数年前の事。 当時、結婚したばかりの彼女はその幸せを満喫していた。 中古物件だったが一戸建ての新居も購入し、忙しいながらも夫と共に新婚生活を楽しんでいたという。 ただ新しい家に住み始めてから三カ月ほど過ぎた頃、廣川さんの身体に異変が起こった。 ある夜の事、ちょうど太腿の内側あたりの皮膚が一面紫色に変色し始めたのだ。 朝起きた廣川さんは自身の股の間を見て吃驚した。 どこかにぶつけた記憶もないし、原因に心当たりがない。 焦った彼女はすぐに病院に行ったが、医者にも分からなかったそうだ。
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