霊媒

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「嫌な思いするかも知れないよ?」 そう前置きして北畑さんはある人物の名前を口にした。 それはKという女性だった。 廣川さんは絶句した。 Kは夫妻共通の友人だったからだ。 もともと夫とは大学時代に知り合って今に至る。 Kともその時に知り合った。 恋愛や進路の事など、何でも忌憚なく話し合う親友のような存在だった。 現に二人の結婚式にも参加して、祝ってくれたのだから。 そのKがどうして。 「その女性は、旦那さんに気持ちがあったようだね」 北畑さんはそう告げた。 それを聞いた夫は暫く黙っていたが、やがて真相を告白した。 廣川さんと付き合う前に、夫とKは交際していたのだという。 それは彼女はこれまで知らなかった事だった。
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