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「うがああああああっ!!」
トロールが俺に追いつき、棍棒を持った腕を高く上に挙げる。
どうやら俺は奴の攻撃射程圏内に入ってしまったらしい。
そしてトロールは腕に唸りを付けて、俺の頭上目掛けて、巨大な棍棒を振り下ろした。
どごおおおおおおおおんっっ!!!!!
ぶつかると同時に余りの威力に、砂埃が舞い上がる。
「ん?・・・まだかな・・・・ん?」
俺は目を瞑り、そして少し開き、また瞑りを繰り返して、人生の終わりを確認する。
しかし、痛みは全く感じず、かすった訳でもなさそうで、俺はただ呆然と立ったまま、その時を待っていただけであった。
(あいつ、綺麗に外しやがったな?)
砂埃が消え、辺りが見えるようになった。
「うががっ!!?!?!?」
トロールの声が聞こえた。
その声は「なんだコイツ!?生きてやがる所か傷1つ負ってねえ!?」みたいな感じに聞き取れた。
ウワ ダッサw プークスクス プー ノ プクノスケw…
そりゃそうだ、こんな雑魚の人間1人に綺麗に攻撃を外しやがったんだから、、外しやがったんだから、、、、外し、、、あれ?
俺は自分の頭上を見上げる。
するとそこにはトロールの棍棒が俺の頭に乗っかってた。
(すんどめか!?何故にそんな事を!?)
コレワ ジラシプレイ トイウ ヤツカネ?…
魔物が人間を攻撃する時に寸止めをする話など聞いた事がない。
こいつ、もしかして俺を舐めてたのだろうか、最初からずっと。
それに攻撃した後のあの発言も、ただの演技かもしれん。
すると今の攻撃を見たアストレアが俺に話して来た。
「私の勇者様ですもの、勇者様の頭に対して、そんな攻撃、ちっとも通用するはずがありません。
私の勇者様の頭はチートなのですから。うふふふふふ!
私が何度勇者様の頭を殴りつけて、蘇生させ、殴り付けて、蘇生させて鍛えあげた事か・・・」
後半アストレアの言った事に関しては記憶が無いためか、なんの話かさっぱり理解出来なかったが。
頭がチート?、だと。ふむふむ。そうか
簡単な事だった。俺は勇者。しかもわざわざ異世界から召喚された勇者だ。
俺はきっと最初からこの世界ではチート的な存在だったのだ。
オレツヨイヨ オレ…
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