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さらに不機嫌になった俺に、アストレアは話始めた。
「今モンスターを狩ってそれを食料にしていた!と考えましたね?。うふふふふ、実は違うんです。それでは肉は手に入っても水は手に入りません。
さあ、私はどのようにして、水と食料を手に入れたのでしょうか?
わかりますか?勇者様」
はあ・・・・
構ってちゃん乙。こんな状況だから今はやめてくれ。俺はもう疲れて来た。
暑いいいい。
俺はほとんど彼女の話を聞いていなかった。
意識が朦朧とし始める。
次の死が近い。俺はそう悟ったのである。
「あらまあ。もう考える余裕も、体力も、無くなって来た頃合いと見て良いのでしょうか?。では正解です!。こちらを見て下さい!
これはあのサバイバルキットや上質な武器で有名なブランド、「世紀末生存社」のブランドで販売された。最高のサバイバルキットです!」
そう彼女が楽しげに話し始めた。なるほど、アストレアはサバイバルマニアでもあったのか。
俺は彼女の持っているサバイバルキットとやらを見る。
一見すると、四角い箱で、箱の上には穴が空いている。何かを入れるための入り口のようだ。
入り口には如何にも何でも粉々に切断出来そうな、太い刃がたくさん取り付けられている。その四角い箱の下には2本のホースが取り付けられていて、ホースはそれぞれ別の箱に繋がっている。
本当にそんなガラクタで食料と水が確保できるのか。
俺は疑いの眼差しを彼女に送る。
「うふふふ!。そんな目で見ていられるのも今の内ですよ。
この機械はですね。この穴に肉を入れると、なんと不思議!。
中にある刃が肉をバラバラに切断し。半分は右のホースの中を通り、もう片方は左のホースを通ります。
そして右のホースを通った肉片は食べられる事が可能な食料に変換されます。
そして左のホースを通ると、肉の水分が絞り取られ、血から飲み水に変換する、優れものなのです!」
「ふーん、結局肉が必要じゃないか。モンスターじゃないとか言っていたのに」
俺は答えれる気力もない中、まるでテレビショッピング番組のように、熱心に商品説明をしたアストレアに、興味なさそうに、適当に返事をする。
「あらまあ。まだ信じていないようですね。
その辺に居るモンスターを狩って実際に見て貰おうかと言いたい所なのですが、あいにくこれは「世紀末生存社」と言うブランドの中の「人肉主食主義」と言うシリーズになりまして、残念な事にモンスターには使用出来ないのです」
ピクリッ
今、アストレアの口から、とんでもないワードを聞いたような気がして、一瞬立ち止まったが、俺は聞き間違えだと思い、再び歩き始めた。
「そのため、この機械は人間にしか使用する事が出来ないのです」
ピクリピクリッ!
俺はついに立ち止まってアストレアの方を向く。
「アストレア?」。
「うふふふふ!。はい、勇者様?」
「今なんて言った?」
「この機械は人間にしか使用する事が出来ないと言いました」
ふむふむ・・・・・
キミ、イカレタノカナ?…
「つまり、おまえは砂漠で出会った盗賊や山賊達を食べていたんだな。
随分と落ちぶれた物だな。
いくら生き残りたいとは言え、そんな事をするくらいなら死んだほうが良いかと俺は思うがねえ。
正直キミにはがっかりだよ。アストレア。パーティは解散だ。俺はもう助けなくて良い。
キミをこんなにしたのは方向音痴で無計画な俺の責任でもあるんだ。だからキミも腹を括って、この先は神の示された運命だけに身を任せようじゃないか」
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