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「おお、勇者よ。死んでしまうとは情けない」
女性の言葉を聞いて目が覚める。ここは教会の中のようだ。
死んでしまうとは、と聞こえたな。
俺は死んだのだろうか。
目覚める前の記憶がほとんどない。
俺は目の前にいる、女性を見た。
さっき俺の事を情けないと言った奴だ。
女性はシスターの格好で、教壇に立っている。
そして胸がデカイ。巨乳美女だ。
「俺は、なんで教会に居るんだ・・・」
おどおどする俺を見て、シスターがニッコリして俺に言った。
「突然ですが、あなたはこの世界の勇者に選ばれました。ようこそ私達の世界へ。
そしてさようなら、あなたは手違いで召喚されてしまった偽勇者です。
なので、ここで殺処分と致します」
するとシスターはスッと左手を上げた。手にはローリングピンが握られていた。
ローリングピンとは、パンやピザなどの生地を伸ばすために使用する、木の棒で出来た調理器具の事だ。
あれで俺を殴り殺すつもりなのだろう。
満面な笑顔で唐突に言われた、とんでも発言に俺はあたふたして、状況を整理する。
「ひぃ!!ま!、待って下さい!シスターさん。俺は何故手違いで召喚されて、殺されなければならないのですか!?せめて、説明だけでも聞かせて下さい!」
そう俺が焦って言うと、シスターは、大きな溜息をして、哀れむような目で見て言った。
「うふふふふ!、面倒な偽勇者です。仕方ないですね、説明しましょう。神の慈悲に感謝する事ですね」
そう言うとシスターは俺に説明を始めた。
「まずはじめに、テクノブレイクという病名をご存知ですか?」
ああ、あの自慰行為中に突然死する恐ろしい病気の事か。
「はい。知っていますが、何故急にそんな話を・・・」
「あなたの死因です」
「は?」
「ですから、この世界へ転生する前、あなたはテクノブレイクで死んでしまったのです」
え、何その器用で残念な死に方。
そんな死因で転生とか、嫌がらせとしか思えないんだが!?。
オレ…カワイソスギジャネ。
両方の意味でイッたって事だよな。
コワイコワイ…
・・・・お葬式とか爆笑してる人しかいないんだろうな…
「テクノブレイクが発症する確率は、1億分の1の確率。
あなたはそれを引き当てました」
※異世界設定による発症率です。医学的根拠はありません。
エッ…ナニソノ強運…イラネ
「そして、テクノブレイクで召された方が勇者に選ばれ、こちらに異世界召喚される予定だったのですが、
条件こそ達成したものの、あなたは勇者としての素質が足りません。
このような場合、この世界では、あなたは偽勇者と呼ばれる存在になるのです」
まあ、俺普通の人間だし。
それにそんな残念な死因で勇者に選ばれるとか、本物か偽物か以前に嫌なんだが!?。
全く、テクノブレイクが転生の条件とか、頭のおかしい世界に転生されたものだ。
「うふふふ!。ちなみに自慰行為に使用したおかずは、ロリコン向けの雑誌であり、遺体を発見された翌日には、珍しい死に方だと世界中でニュースとして放映され、
日本ではロリコン向けの雑誌、漫画、アニメがブームとなり、海外では Hentai というジャンルに次いで Rorikon というジャンルが正式に加わったほどで」
「ふ!ふんぬーーーーー!!やめろおおおおお!!!聞きたくない聞きたくない!
それと、なんで俺の性癖まで拡散してんの!?墓場に持って行くと決めた俺の性癖が・・・何ブームになっちゃってんの!?
生きている間に、そのブームに乗れなかった俺としては、それはそれでなんか悔しいんだが!?」
慌てる俺を見てもシスターはニッコリとしたまま話し続ける。
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